強制的にわが子を言う通りにさせる。
学校の教育でも家庭の教育でも塾でも、
強制的に学習させるという方法は、
そうさせたいと思う方が強ければ、
いとも簡単に成立する。
私の話をすると、
父親は元自衛隊員で屈強な肉体を持っていた。
私が小学生の頃には、
圧倒的な体力の差があった。
しかし、
何かを力ずくでされたことはほぼない。
中学生のときに1度、
父親と取っ組み合いになった。
そうなった原因は忘れたが、
その時は組んだ瞬間に勢いよく床に倒された。
とてもかなわないと思った。
その後同じようなことは何年もなかったが、
私が大学生のときに自宅で取っ組み合いになった。
これが最後の取っ組み合いになった。
そのときのことは今でも覚えている。
全力で私を押し倒そうとしている、
父親の真っ赤な顔を見て、
最初は力を入れて対抗していたのだが、
途中からとても悲しい気持ちになった。
「あんなに強かったのに…」
心のどこかで、
いつまでも父親は強くあってほしい、
そう願っていたからだろう。
私の場合は違うが、
恐怖感をもたせることで、
わが子をコントロールする親は、
結局はそのやり方が一時的なものであると、
思い知らされることになる。
そうしたやり方は、
わが子が体格的にも体力的にも、
親を凌駕するようになると同時に無効になる。
またそのやり方は、
親子間の会話がなくなっていくという、
辛く苦しい事態を招くことになる。
(続く)