「もしも…の話だけど」
「はい」
「その毎回成績が1番のMちゃんに…」
「は…い…」
「Dちゃんが次回のテストの成績で…」
「はい…」
「上回るようなことが起きたら…」
「え…」
「何がどうなるかな?」
「え~、そんなこと…」
「もしも、の話だけどね」
「はい…『もしも』ですよね」
「そのMちゃんはさぁ…」
「はい」
「みんなの中できっと有名だよね」
「もちろんです!」
Dちゃんが明るい顔で話す。
「いっつもMちゃんがトップです」
「そうだよね」
「めっちゃ頭が良くて」
「そうなんだ」
「誰も勝てません(笑)」
けっこう楽しそうに話す。
「それでさぁ…」
「はい…」
「その子に次回のテストの点数で勝ったら…」
「…はい」
「世界が変わるかな?」
その瞬間スッと時間が止まった。
「変わりますっ!」
「変わるよね?」
「変わります!」
「変わるよね??」
「変わります!!」
私はDちゃんの目の奥に、
力がみなぎっていく様子を感じた。
「じゃあ『世界』を変えよう!」
「はいっ!」
うわぁ~、どうしよう。
どうすればいいかなぁ。
できるかな…。
でも、やってみたいなぁ。
Dちゃんの表情から、
そんな心の動きが見て取れた。
自分(世界)を変える。
塾に来る生徒はだれであっても、
どんな成績の生徒であっても、
本来は、
そういう意気込みで来ることが、
望ましい。
そして塾とは、
そういう化学変化を、
塾生に起こす「場」であるべきだ。
私はそう思っている。
それが、
「塾」だ。
(続く)