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塾長の考え

塾長の考え(推薦合格)

ちょっと緊張しながら、

こちらに向かって歩いてくる。

 

その生徒は高3のIちゃん。

 

今日は推薦合格の発表日だった。

 

30年間この仕事をしているので、

(独立前も含めば34年間)

 

こういうときは聞かなくても、

本当は分かっているのだが…。

 

Iちゃんが私の机の前に来た。

 

別室で学習した内容のチェックを、

いちいち受けないといけないから。

(高校生に課せられている)

 

北斗塾では、

自立型個別学習の1つの動作として、

学習を1項目するたびに、

 

担当の講師か、

塾長である私か、

 

いずれかの確認サインがいる。

 

そういうルール。

 

会社での書類で言うところの、

「確認印」を文書に押すのに似ている。

 

さて、Iちゃん。

 

うっすらと笑みを浮かべている。

 

こちらはよく分かっていないふりを、

自然な感じでしつつも質問をする。

 

「今日の(合格)発表はどうだった?」

 

「…(ためて)…合格しましたっ!!」

 

「おおっ、良かったね~~」

 

「はいっ!(最大級の笑顔)」

 

というわけでIちゃんは合格した。

 

初めて塾の話を聞きに来た時のこと。

(今年の高3の春)

 

その後悩みが大きくなって家族会議。

それから、

 

「ちょっとご相談があります…」

 

という親御さんからの電話があって、

お父さんといっしょに面談をしたとき。

 

大粒の涙を流して反省をしたあのときの面談。

(横にいたお父さんも沈痛な表情だった)

 

もっと早くに勉強を開始するべきだったよね。

 

でも気が付いた時が「1番早い」タイミング。

 

間に合わないかもしれないけれど、

そこから受験に向けて走らなければいけない。

 

ダメかもしれないけれど、

それが走らない理由にはならない。

(走らなくなる生徒は…たくさんいるが)

※自塾の生徒以外に

 

持ち前の明るさがあるIちゃん。

 

いつも笑顔を絶やさなかったIちゃん。

 

そういう風に育ててきたご両親。

 

親御さんは家庭内の雰囲気づくりを、

しっかりとやってきたのだろう。

 

私はいつもそう感じていた。

 

推薦入試は「面接」と「小論文」。

 

面接は高確率で大丈夫のはず。

 

勝負は「小論文」だった。

 

 

学校で指導を受けてきたはずの小論文を、

土壇場で私が修正することを提案。

 

それを信じて、

練習してきた小論文と違う型で最終調整。

 

賭けだった。

 

本人もそれは分かっていた上で、

 

私の提案に乗った。

 

怖かっただろう。

 

試験直前の大幅な変更だったから。

 

だが個人的に言わせてもらうと、

 

学校で指導を受けていた小論文の出来では、

 

危なかったはず。

 

 

最後に必要なものは、

 

勇気と決断だった。

 

 

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