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塾長の考え

塾長の考え(自立心とは)③

先日(金曜日)のことだ。

例のSくんとの会話。

 

「先生、土日の宿題は?」

「何、土日?」

「やるんですよね、宿題」

「いや、やらなくていい」

「えっ、やらなくていいんですか?」

「ん、やりたいの?」

「いや…、そういうわけじゃ…」

「別に…しなくていいよ」

「何でしなくてもいいんですか?」

「はぁ、できるの?」

「〇〇先生のときは、だって…」

 

〇〇先生とは前任者の講師のことだ。

 

「やりたいならすれば…」

「…、しなくていいんですね?」

「平日だけすればいいよ…」

「え、それでいいんですか!?」

「あのね、やりたければすればいいよ」

「…」

 

そして今日(土曜日)。

 

「先生、昨日宿題していません」

「あ、そう」

「『あ、そう』って…」

「何?」

「え、怒らないんですか?」

「怒る? なぜ?」

「え、それは…」

「何?」

「いえ…やってないんですけど」

「じゃあ、今からすれば?」

「え、今からすればいいんですか?」

「いいよ、それで」

 

自分の席に戻ったSくん。

 

こちらが黙ってみていると、

 

座るや否や、

 

「よ~し!」

 

と小声で言って袖をまくった。

 

そして一心不乱に、

問題(昨夜するべき宿題)を、

やり始めた。

 

本人は昨夜宿題ができなかった理由、

それを私に隠したままだった。

 

別の女性講師がいて、

 

「塾長、今夜は宿題できませんよ」

 

と私に助言してきていたのだ。

 

昨日の昼の時点で。

 

 

Sくんは昨夜は用事があったのだ。

 

それはお母さんとの映画と食事。

 

 

まあ、それが宿題をやらなくていい、

「正当な理由」にはならないのだが。

 

では、

 

いったい彼は私に何をしたのか?

 

それは私を試したのだ。

 

宿題をやってこない自分を、

 

怒鳴るのかそうでないのかを。

 

 

ここが肝心なところだ。

 

講師が感情的になって、

塾生に問い詰めたり、

 

強制的にやるように指示したり。

 

そうやって仮に勉強しても、

 

その生徒は「自立型」にならない。

 

成績は一時的に上がっても、

 

そんなものは、

 

長期的に見ればまるで意味がないのだ。

 

 

こちらは、

 

大学受験の合格を見据えている。

 

目先のことも大事だが、

 

「自立心」を育てる指導の実現の方が、

 

10倍大事だ。

 

 

(続く)

 

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