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塾長の考え

塾長の考え(自立心とは)④

昨日は日曜日。

 

例のごとく、Sくんである。

 

土曜日は塾に来て黙々と勉強した。

 

が、

 

日曜日になると…、

彼のいる場所は「塾」ではない。

 

彼がいる場所は「自宅」である。

 

 

ここがポイントだ。

 

 

Sくんは素直なところがあり、

 

「ここをやるといいよ」

 

と言えば「はい」と答える。

 

そして、実行する。

 

 

だがこれは「塾」にいるときの話。

 

自宅に帰るとやりたい放題。

 

 

昨日(日曜日)は朝方4時30分まで、

 

ゲームをしていたらしい。

 

 

つまり自宅に戻った瞬間に「我(われ)」に返る。

 

自分の欲望のままに動く。

 

 

なぜならそれが、

 

「気持ちいい!」

 

からだ。

 

 

「気持ちいい」からやりたい、

止まらない。

 

「楽しい」からやりたい、

止まらない。

 

 

お母さんが途中で心配して声をかけたが、

 

「わかったが!」

 

と言ってそのままゲームをしたそうだ。

 

 

そして今日。

 

当然だが睡眠不足できつい。

 

 

そこで、

 

担当講師がしばらく休ませてあげた。

 

眠くて勉強できないから。

 

 

なぜ「塾」では努力できる生徒でも、

「自宅」ではやりたい放題なのか?

 

答えはカンタン。

 

「塾」には私(塾長)が存在していて、

「自宅」には母親だけが存在しているからだ。

 

男の子は中学生や高校生になると、

母親の言うことはたいてい聞かない。

 

 

そこで父親の出番となるのだが、

 

父親が仕事で忙しすぎたり、

出張していたりすれば、

 

タイミングよく息子に向かい合うことが、

できない。

 

そうなると、

 

体格的にも体力的にも勝る男の子は、

母親に「対抗」できるというわけだ。

 

「勝てる」と思っているから。

 

じつはSくんはお母さんに対して、

勝てるとか勝てないとか、

 

おそらくそんなことは思っていない。

根が優しい子だからだ。

 

 

そこにあるのはただ、

 

「ゲームがしたい!」

「楽しい!」

「気持ちがいい!」

 

という快楽だけだ。

 

 

ということで、

 

今日は彼に1時間程度(もっとかな…)、

話をすることになった。

 

本来これは父親の役目だが。

 

こちらが彼を預かっている時間帯は、

こちらが管理者であり監督者であり、

責任者であるから、

 

指導をする。

 

 

結局はこれが難しいからこそ、

 

「塾に自習に来いよ」(塾関係者)

 

というささやきが有効となり、

それを「売り」にする塾が出てくる。

 

そして、

「塾に(自習できるなら)行きなさい!」

 

とわが子を塾に追い出す母親が誕生する。

 

これは、

 

問題の本質から目を背ける母親と、

それを利用して生徒を、

塾依存にしようとする塾側の、

 

共同作業だ。

 

 

それでわが子の「自立心」は、

本当に育めるのだろうか?

 

 

(続く)

 

 

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