「私は…この先どうなるの?」
これは高2のGちゃんのセリフだった。
個別指導の塾に通い、
皆(同学年)と同じテキストを使い、
わからないところが出てくれば、
「先生、わかりません」
と言って質問をする。
隣に座っている講師が、
その質問に答えてくれる。
「それの何が悪いの?」
ふつうの親ならそう考える。
だが、
Gちゃんのような感想をもつ生徒は、
実は潜在的に多いと思われる。
これが「依存型個別指導」の欠点の1つだ。
依存型個別指導とは、
生徒の近くに講師がいることが前提。
生徒から質問が出れば応対する。
それが「サービス」だと認識している塾に、
よく見られるやり方だ。
欠点の1つ目は、
思考力養成の訓練が甘くなること。
欠点の2つ目は、
講師の質が悪くても生徒が気づきにくいこと。
欠点の3つ目は、
自立型の生徒に育っていかないこと。
この3つの明らかな欠点のせいで、
生徒の学力向上は難しくなる。
ただし、収益性は高いため、
塾側は好んでこのやり方を行う。
Gちゃんの不安は、
このまま指導を受け続けても、
自分の目標(志望校合格)が達成できないと、
気づいたからに他ならない。
なぜそうなるのか?
講師がバイトであるため、
未来基準の指導ではなく目先の指導に、
どうしてもとらわれるからだ。
ビジョンのない指導はいつでも、
短期的効果しかもたらさないし、
その効果も時間の経過とともに消えていく。
質問すれば答えてくれるが、
質問しなければ何もしない、
そんなケースがあちこちで生じている。
親御さんは…わからないだろうが。
私が行った2番目の写真館も同じ。
リクエストすれば対応してくれるが、
自らお客に対してアクションをしない。
いいものを作ろうとする職人は、
いつだって顧客に対して能動的だ。
能動的な指導かどうかは、
生徒の「自立心」を育むやり方かどうか。
その1点で判断できる。
高2のHちゃんのセリフは、
毎日塾に行けるのはいいんですが、
結局は学校の宿題をやりに行っているだけで、
「いつでも質問は受け付けるよ」
と入塾時には言っていたのに、
実際は先生が忙しそうにしていたり、
自分たち生徒を放置していて、
「自習をしているからいいよね」
「家じゃ勉強できないけど塾ならできるだろ」
「質問を積極的に持って来ないそっちが悪い」
こういう対応だったらしい。
これもまた「将来のビジョン」なしの指導。
これでは「毎日自習に行く塾(場所)」。
それを塾とは言わない。
(終)